2011/2012 演劇 『まほろば』 公演プログラム 新国立劇場

2010/2011シーズンの『鳥瞰図』再演に続き、2008年6月〜7月に小劇場3作品連続上演を行った、新国立劇場初登場の若手劇作家とベテラン演出家によるコラボレーション企画「シリーズ・同時代」の中から、その第三弾として上演され、2008年第53回岸田國士戯曲賞を受賞した『まほろば』を再演。
とある田舎町の祭りの夜、本家を名乗る大きな日本家屋の居間を舞台に、命を繋げる、次世代への記憶を紡ぐ、ということをテーマに描いた6人の女の物語。




ものがたり
東京で一人暮らしを続け、未だ独身であるミドリは、久しぶりに実家のある村に休暇をとって帰郷する。それは故郷では有名な祭りの夜。男たちは外に出払い、本家であるミドリの実家は宴会の準備で大忙しである。ミドリの母であるヒロコは小言が絶えない。長女であるミドリは結婚もせずに東京暮らし、次女のキョウコは自由奔放な女で、その娘・ユリアの父親は誰だかわからない、当のユリアもどこにいるのかわからない。本家の血を絶やす気か、と怒り心頭のヒロコを本家の「大母様」であるタマエと、村の娘・マオが二人の間に入り、なだめてくれるのだが、ヒロコの耳には入らない。
しかしそんなヒロコにミドリはきっぱりと言う。
「たとえ婿を連れて帰っても、子供は出来ません。何故なら、私、生理があがってしまったから」
そこに突然、ユリアが帰って来る。不倫の果てにお腹に子どもがいる、この土地で子を産み、この土地で暮らしていきたいと告げる。
「親子揃って、わけのわからない子を産むなんて!」とヒステリックになっているヒロコ。
「父親のいない子供を産む大変さを、あんたは全然わかってない」と出産に反対するキョウコ。
「自分だって父親が誰だかわからずに私を産んだでしょ!」と言い返すユリア。
「産みたいなら産みなさい!産める時に産まないときっと後悔するわよ!」と力説するミドリ。
それぞれの思いがすれ違い、どこにも辿りつかない。二日酔いで気持ちが悪くなりトイレに駆け込むミドリ。
ふいに「それはもしかしてつわりではないの?」と指摘をされる。そういえば大いに酔っ払った日、男と関係を持ったような記憶があるような、ないような。妊娠検査の薬を持ってくるヒロコ。調べるミドリ。陽性であるか陰性であるかを待つ緊張の時間。しかし、この待っている時間にヒロコにあることを問われる。
「もし、妊娠していたら。本当に産むの? 本当に母親になる覚悟はあるの?」
はたと、このシンプルな質問に立ち返るミドリ。
「私の幸せとは何か? 母親になることなのか?」
そして、ついに検査の結果が出る瞬間が訪れる……。
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800円(税込)
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