2010/2011 演劇 『雨』 公演プログラム 新国立劇場

2010/2011シーズン後半は、「JAPAN MEETS・・・」から続く日本の演劇として、現代演劇を語る上で避けては通れない巨頭、井上ひさしの傑作『雨』を上演いたしました。


井上ひさしがおよそ35年前、日本から遠く離れたオーストラリア滞在中に一気に書き上げた『雨』。

五月舎からこまつ座へと受け継がれた本作は、26年間に渡り8演、計482ステージ、そのすべてを木村光一演出により上演を重ねてきた名作中の名作です。

その傑作が装いも新たに登場、新国立劇場で、こまつ座で、数々の井上戯曲を時に細やかに時に大胆に演出し、作家とともに名舞台を生み続けてきた栗山民也が、井上ひさし氏から直々の指名を受け、新演出に挑みました。




ものがたり

江戸の町、両国橋。古釘やら煙管の雁首などを拾って歩く金物拾いの徳は、ある豪雨の午後、雨宿りに入った橋の下で、新顔の老いた浮浪者から「喜左衛門さまでは・・・・・・?」と声をかけられた。
そんな名前は知らぬと無視を決め込む徳に、勝手に話しかけては勝手に懐かしがるこの老人。
喜左衛門とは、平畠一の器量よし、「紅屋」の娘おたかのもとへ二年前に婿入りした男なのだが、その喜左衛門と自分がまるで生き写し、しかもその男、去年の秋から行方不明になっている。平畠とは紅花で台所を保っている北国の小藩で、「紅屋」とはその平畠で一番の大店のこと。
そりゃ人違いだ、俺はこの橋の下に赤ん坊の時分に捨てられて、物心ついた時にはもう屑拾いだった、と老人に取り合おうとはしない徳だったが、話を聞くうち、徳の脳裏に一つの思案が浮かぶ。
「どうにかしておたかという女を一目見ることはできねぇか」
北へ北へと咲きのぼって行く桜の花を追ううちに、とうとう奥州平畠までやって来た徳。しかし、たとえ姿かたちが生き写しの瓜ふたつでも、徳は喜左衛門の事をなにひとつ知らない。その上、江戸から宇都宮、宇都宮から白河、白河から福島、米沢、平畠と北上するうち、言葉(方言)の様子が変わってきたことに戸惑いを隠せない徳。こんな方言では話せない、これでは他人になりすますことなど出来やしない、やっぱり明日の朝には江戸に戻ろう、と諦めかけた丁度その時、徳は村人に見つけられる。
「紅屋の旦那様(さ)ァ・・・・・・」「喜左衛門様(さ)ァ!」
その声を聞き、徳はいまやはっきりと紅屋喜左衛門を演じようと決意し、記憶を失ったふりをしてゆっくりと村人の輪に入っていく・・・・・・。





Tweetスタッフ
作:井上ひさし
演出:栗山民也
美術:松井るみ
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
衣裳:前田文子
方言指導:萩生田千津子
演出助手:豊田めぐみ
舞台監督:三上 司






キャスト

市川亀治郎・永作博美

梅沢昌代・たかお鷹・花王おさむ・山本龍二・石田圭祐・武岡淳一・酒向 芳・山西 惇・植本 潤・金 成均 ほか
販売価格
800円(税込)
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